佐藤くんは甘くない


***


そのあとの私たちと言えば、まあ、はたから見たら喜劇でもしているかのようだった。

鞄に入っていたスマホを見たら、不在着信で10件、瀬尾からLINEが10数件。いずれも、早く帰ってこい間抜け、という内容だった。


私は、ぎこちない足で、立ち上がって、


「……ええっとですね、今日はもう帰りますね」


「……あ、……うん」


佐藤くんもかくかくのロボットみたいな動きで、ベットから降りて立ち上がる。

そして、何食わぬ顔で、


「送る」

「……はあ?」


はっ、思わず心の声が思いっきり漏れてしまった。

さっきまであんなにせわしなく動いていた視線が、じっと私一点に止まるのが分かる。つ、突き刺さる。アンタマジで馬鹿なの?的な視線だ。



「だって、佐藤くんまだ体調良くないですし、いいっすよ」


「人の触れられたくない、黒歴史をじいちゃんからきいたやつがよく抜けぬけと、」


「と、とにかく!私は佐藤くんを月曜日に学校に連れて行くという約束を果たすためにきたんですから、治してもらわないと困るんっす」


ジト目だった。レーザー光線でも出ているかのような冷ややかな視線。痛い、痛すぎる。


佐藤くんは、諦めたかのように小さくため息をつくと、


「……いいよ。分かった。送らない。その代り、瀬尾にでも迎えに来てもらって」


「は、はい」


「でも、玄関まではついてくから」


私が反論しようとすると、佐藤くんが面倒くさそうな顔で舌打ちした。け、牽制か!?さっきまでの可愛い佐藤くんは何処!?



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