佐藤くんは甘くない
「じゃ、さっそくやりましょうか」
「うん」
テレビに向き直った私たちは、さぞ今にやにやしているだろう。
『始めるときはテレビから3メートル以上離れてプレイしてね!』
テレビ画面では、人差し指を立てて片目ウインクした、金髪のツインテールの女の子が、笑顔で映っている。
私はとりあえず、ゲームについていた説明書を開きながら、人物紹介のところを見た。
「うむ、この子は西条・K・リリーちゃん。運動神経抜群、帰国子女で英語ぺらぺら。転校生として、主人公の隣の席になった美少女で、ツンデレ」
「隣にパツ金の帰国子女が座ってるとか、一体どんな確立だよ」
佐藤くんがウン臭そうに、目を細めている。
確かに、それはありえない。
ええっと、他には。
私はなるべく佐藤くんに触れないように、説明書を床に置いて人物紹介のページを広げる。
「最初はなるべく、攻略が簡単な人からやったほうがいいですよね」
「まあ、確かに。ねえ、瀬尾」
そういって、佐藤くんが後ろで体操座りしながら項垂れた瀬尾を振り返る。