佐藤くんは甘くない


佐藤くんが真っ赤な顔を両手で押さえて、あわあわし始める。

ま、まずい。


「佐藤くん、落ち着いてください。これを乗り越えたら、きっとひよりちゃんとちゃんと話せるようになるはずです!」

「……」


佐藤くんが涙目で私を見てくる。やべえ可愛い。じゃ、なくて!


「ひよりちゃんと仲良くなりたいんでしょう?話したいんでしょう?近づきたいんでしょう?なら、自分の気持ちだけで何もかも諦めるのはだめです」


じっと、彼の瞳を見つめる。

佐藤くんは一瞬、言葉を詰まらせて何か言おうとしたけれど、結局は口を閉じてしまった。

それから数十秒後、小さく息を吸う音が聞こえたかと思うと、


「い、……いい、よ。俺も……おれ、も一度……あ、」


「佐藤く、」


「朝比奈さんと……は、話したいって、思ってたから。」


佐藤くんは一気にまくしたてるかのようにそういうと、私の方を向いて、

「これでいい……っ?」

「あ……、はい!上出来です!!さすが佐藤くんです」

「うっさい、お世辞なんていらないから」

嘘なんかじゃないですよ、と褒めようとすると佐藤くんはふいっと向こうを向いてしまった。

うーむ。怒らせちゃったかな?





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