夢幻罠
よく見ると、そのゴムにはEXITと刻まれていた。

これでは誰も文句は言えない。

その足形のゴムの上に足を乗せた。

サァーと鏡戸はスライドした。

コンピューターの大量販売を成し遂げたあとの満足感と同じような感激を味わいながら、俺はそこを出た。

そして手洗い場から外に出ると、マスターの姿があった。

彼はニコッと微笑むと、

「またのお越しをお待ちしてます」
と頭を下げた。

どうも、俺の帰りが遅いので様子を見に来たようだった。

俺は照れ笑いを浮かべると、

「また寄らしてもらいますよ」

と言い、出口に足を向けた。
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