【短】あの人と私~赤ずきんの恋~
あの人の指定席に並んで座った。

図書室の一番奥の席。



あの人の空間に入ったような気がして、嬉しくなった。



私は、あの人が見つめる本のページをゆっくりとめくる。


私の視線は本の中の小さな文字。




だけど、こんなんじゃ読めないよ…。




あの人の肩が、私の肩に触れている。


あの人の黒い髪が、微かに動いてる。



私の神経は、あの人にしか向かないよ…。





私はどうしてもあの人の瞳が見たくなり、

少しだけあの人の方を見た。




あの人の横顔を、ほんの少し見ようとしただけだった‥



なのに、

私の瞳に映ったのは



あの人の真っ直ぐな瞳だった。









ドキッとした瞬間






あの人の唇が、私の唇に触れた。






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