【短】あの人と私~赤ずきんの恋~
温もり
家に帰ると、明日香がお風呂上りにビールを飲んでて

泣きながら家に入った私に明日香は驚いていた。



「由紀、どうしたの!?」


「明日香ぁ‥!」



私は明日香に抱きついた。


一人で抱えきれなくなった想いを支えてもらうように。



明日香は、私が泣きやむまで優しく抱きしめてくれていた。




泣き止んだ私は、明日香に全てを話した。



私が恋をしている『あの人』が生徒であること。

あの人と体の関係をもってしまったこと。



明日香は優しく相槌をうちながら話を聞いてくれた。



「由紀、ずっと苦しんでたんだね」


「苦しい…。だけど、あの人に恋をしたことは後悔できないの…。
あの人が好き‥。
好きだからお別れしたよ…」


「それでいいの?
彼も由紀のことが好きなんでしょ?」


「…わからない」




由紀に言われて気づいた。


いつもあの人の温もりから優しさを感じてたけど、

『好き』という言葉は聞いていない。



あの人は、私をどう思っていたんだろう…。







私は明日香と同じ布団で眠った。





あの人の温もりを思い出しながら…。











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