SAYURI






大治と小百合はどうして死んでしまったのか。







わからない事もまだある。






思い返せば大治には図書室でしか会わなかった。






大治は琴音の側に来て耳元で囁いた。







「後戻りはもう出来ない」







琴音はもうそこから動けなかった。





大治の右手にはノコギリが握られていた。







そのノコギリの血はまだ乾いていなかった。






そして琴音の首筋近くにノコギリを近づけた。
琴音は覚悟したように目を閉じた。








そこから先の記憶はない。
気付いたら琴音は家のベッドで眠っていた。







琴音はある違和感を感じたがそれが何なのかわからない。






深く考えないようにしてリビングへ降りる。






家を何も言わず飛び出したのだ、きっと親はカンカンだろう。
重い足どりでリビングに入る。






しかし親は怒るどころか機嫌がよかった。






「おばあちゃん・・・私昨日」







おばあちゃんは笑って「昨日よっぽど疲れてたんだねぇアルバム見ながら寝ちゃったんだよ」と言った。







(寝てた・・・?じゃあ昨日のは)







昨日のは夢だったのか、琴音の違和感はどんどん大きくなっていく。
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