方言男子に恋をした
目が覚めると知らないベッドに寝ていた。
しかも京都出身だといった男性と。


「まずい…よね?」


起き上って色々確認したものの、未遂ではなかったらしい。
こんな漫画的シチュエーション、絶対あり得ないとか思っていた昨日までの私に言ってやりたい。

人生何があるか分からない、と。


って!
冷静に状況説明とか自分にアドバイスしている場合じゃないのよ!!
どうしたらいいのよ私は!?

30年も生きてきて、昨日会ったばかりの男性と一夜を過ごすなどそんなハードルの高いことはしたことがない。
もちろん何をすればいいのか分からず、起き上った体勢から動くことが出来ない。

ふと視線をベッドの下に移すと、私が昨日来ていた服が乱暴に散らかっている。
そして徐々に昨日の記憶が戻ってきて、一人恥ずかしくなった。

しかし恥ずかしがっている場合ではない。

経験のない私が出来ること。
それはとにかく逃げること!

逃げてしまえば、もう二度とこの男性に会うこともないはずだ。
話していて楽しかったし、いい人だと思ったけど…今は逃げるしかない。
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