方言男子に恋をした
…何よあれ。
なんか悔しいけど、ものすごくかっこよく見える。


「一応まとまりました」


平沼君が話し合いと同時に作っていた企画書を佐久間に見せてくれた。

佐久間はというと、眼鏡の奥の目を細めてパソコンの画面を黙って見ている。
その横顔が真剣そのもので、心臓がうるさいぐらいドキドキいっている。

何だか恥ずかしいから、顔を背けたいのに出来ない。
もう少し見ていたいかもという気持ちが心のどこかにある。

…私どうしたんだろう。
昨日(正確には一昨日の夜)初めて会った、しかも一夜を過ごした相手に、まるで恋をしている感じだ。

…いや、まさかね。


「まあいいと思いますよ」


画面から目を離した佐久間は、社内課メンバーを見渡して言った。

私はというと佐久間がこちらをみる前に、急いで視線を逸らした。


「…データーは送っておいて下さい。部長には俺から報告しておきますから」

「はい」


平沼君の返事を聞いた佐久間は、「お願いしますね」と一言言い部屋を出て行った。
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