方言男子に恋をした
「じゃあ対談は質問コーナーを追加にして進めましょうか」


すっかり進行役をこなす美宇ちゃん。
これは将来期待出来るかもしれない。


「今回の担当は…確か詩織先輩でしたよね?」

「あ、そうね」


美宇ちゃんに聞かれて、そうだったと思い出した。

そういえば今月は私の担当だ。

運良く対談するのは我が会社の社長。
温和な方でとりあえず和む。
そして対談もサクサクと進む。

ああ、今月は平和に終わるわ…。
ただでさえ佐久間という人物のせいで、色々と大変なんだから。



その後もああでもないこうでもない、周りはこう言ってるだのと話し合い、昨日仕上げた企画書より良いものが出来てしまった。

また表紙を含め、社内報自体のデザインを変えることになった。

もちろん社内課メンバーが、0に等しい美術的センスを駆使して作り上げる。

任せるという方法もあるが、やはりやるなら自分達の力で作り上げたい。

作り上げた時の達成感は凄いし、作るのは何だかワクワクする。(その分発行するまでに何度か挫折しかけるが)

そんな気持ちがあってか、印刷を除き社内報は自分達で仕上げているのだ。



「何か意見がある人はー…」


美宇ちゃんがそう言いかけた時、ガチャッという音がして扉が開いた。

入ってきたのは他でもない。


「進み具合はどうですか?」


グレーのスーツをこれでもかというくらい着こなした佐久間だった。
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