方言男子に恋をした
『常務秘書の方との打ち合わせ!忘れてませんか⁉』

「え、忘れてないわよ?」


忘れるわけないじゃない。
相手は常務よ?
そんな人との対談の打ち合わせを忘れるなんて…。

そう思いながら、ふと視線を腕時計へ移せば。


「あー⁉」

『ちょ、耳元で叫ぶの止めて下さい!』


耳元で叫ぶとか叫ばないとかの問題じゃないわよ⁉


「連絡ありがとう!」

『え、ちょ、詩織先輩⁉』


急いで電話を切って、私は資料室からこけるように走り出したのだった。


何で昼休みが20分も過ぎているのよ!

あー佐久間のせいか?
いや、私がフリーズしていたせいか⁉

どうでもいいけどお昼食べ損ねたし!
ああもう!


必死の形相で走っていただろう私を見て、横を通る社員に変な顔で見られたのは当然のことだろう。
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