方言男子に恋をした
誰のせいだと思ってるのよ!

目の前にいる佐久間を睨みつけると、スッとこちらに近付いた。

何事か。

そう思った時には遅かった。
佐久間の口元は私の耳近くまで来ていて。


「そんなん逆効果。可愛いだけやわ」

「っ!」


体中がゾワッとした。
声が出ないし、体も動かない。

こんな風になったのは初めてだ。

ダメだわ、これ。
何故急に敬語じゃなくなるのよ。
…しかも耳元で!


「では、対談のほうお願いしますね」


脳内パニックを起こしてフリーズしている私を放置して、佐久間は勝手に話を終わらせ意地悪く微笑み資料室から出て行った。



『プルルルーー』

我に返ったのは電話の音だった。
ハッとして、携帯を取り出せば表示されているのは美宇ちゃんの名前。

確か今はまだ昼休み…個人的な内容かしら。

そう思いつつ携電話に出ると、


『詩織先輩!今どこにいるんですか⁉』

「し、資料室ですけど…」


切羽詰まった美宇ちゃんの声に思わず敬語になってしまった。
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