大好きな君へ。
 暫く道なりに行くと又三角の土地が見える。

其処を曲がらずに真っ直ぐ行く。


小さな橋を渡り、細い路地を歩く。

次の丁字路を左に曲がり又真っ直ぐ進んだ。

そのまま暫く道なりに行くと札所五番の納経所の案内板が現れた。

目指す本堂はその先にあった。


何だか少し変わった仁王様だった。
雷神に似ているとも言われているようだ。


左右の門を一礼ずつしてから境内に入り、所作を繰り返した。


立派な仁王門に比べると、何となくこじんまりとした本堂だった。
その横にある藤棚が少しの木陰を作っていた。


「おん、しゃれい、しゅれい、じゅんでい、そわか」

五番札所語歌堂の真言も違っていた。
それ等を唱えながら、あれこれと考える。

でも集中しなければならないと頭を切り替えた。


一通りの礼拝を済ませてから納経所である長興寺へと向かい御朱印をいただいた。




 再び札所五番方面へ向かい、次なる七番を目指すことにした。

何故六番ではないのかは歩く人の都合なのだ。




 町民グランドの横の丁字路を真っ直ぐに行くと下横瀬橋に出た。
此処を渡り、その道を何処までも行くと温泉施設が目に入った。


「何時か来たいね」

優香の言葉に頷いた。




 交差点が見える。
その先は国道299だった。

暫くその道を進むと信号があり、反対側に札所九番の案内板があった。


「先にあっちに行く?」


「いや、やはり順番通りがいいな」

僕はそう言いながらも心配だった。
もう札所七番は通り過ぎてしまったのかな?
なんて思ってしまったからだった。


どうやら、そうだったようだ。
巡礼道は国道を通ることなく行けるようだ。




 横瀬橋の信号を左に折れて坂道を暫く行くと札所七番への案内板があった。
実は六番と七番は逆さにしたのではないかと疑うような行程なんだそうだ。
だから先に七番に向かうことにしたのだった。


交差点に右六番と八番、左七番の案内板があった。


優香が右に折れようとするのを止めて、左へと曲がった。


「どうしたの? 順番通りならこっちが……」


「大丈夫、僕に任せて」

自信はない。
だけど自信たっぷりに言った。




 その先の案内板を左に折れて細い路地を行くと七番の大きな駐車場があった。

其処にはバイクも止めてあった。


「バイクで回っている人もいるんだ」

何気なく僕は言った。


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