大好きな君へ。
結夏と見た夢
 ハローワーク経由で就職が決まった時、説得してくれた恩師。


そのお陰で、必要単位や一種免許状などのメドも立ち準備は全て整った。

後は地方公務員の採用試験を受けるだけとなったのだ。

僕は地方公務員として先輩でもある、優香の助言を受けながら勉強を重ねていた。




 卒業論文はその後で仕上げるつもりだった。


書き方はあの先生にに教えてもらった。


今はパソコンで書くらしい。

表紙は一頁。
何年度卒業論文。
何年何月何日提出。
何々大学何々学部の他に学生番号も記す。


概要は一頁。
五百―六百文字程度で仕上げる。
先生方が卒業論文を閲覧するのはこの部分なので、ここだけはきちっと仕上げることだそうだ。


目次は一頁。
章立てと対象頁を書いておく。
第一章・はじめに。
第二章・準備。
第三章・本論。
第四章・考察。
第五章・結論。


本文は十頁以上。
一章のはじめにで、研究の背景などを述べることから始まり、最後の章で今後の展開等も述べておくことも重要のようだ。




 発表会のプレゼンテーション用のスライドも準備する。

卒業論文のまま書くのではなく、解り易く纏める。

箇条書きなどで工夫することが大事のようだ。


論文の提出は概ね二月下旬から三月上旬のようだ。

だから今のうちからコツコツ書いておこうと思っていた。




 それなのに僕はまだ悩んでいた。

お袋のいる芸能界には戻るつもりは更々ない。

優香以外の女性とのラブシーンなんて願いさげだ。

噂話が現実の物となった今、復帰するかも知れないと言う週刊誌の記事もなきにしもあらずだけど……




 優香は僕のことを『王子様』と言った。

それは冷凍ハンバーグのコマーシャルでのひとコマだった。

幼稚園でお弁当 を食べるシーンで冠を着けさせられた。
何が何だか解らないから不安になった。
でも何時も傍にはお袋が居てくれた。


だから思いっきり笑えたんだ。
今考えると不思議だ。
映画やテレビドラマの撮影で忙しいはずのお袋がずっと一緒だったのだから。


きっと撮影の無い日だけ僕を呼び寄せたのではないなかな?
ステージママの雰囲気を味わってみたくなって……
だから、僕はマネージャーに疎んじられたのかも知れない。




 ソフトテニスの王子様騒動の時、僕はマネージャーに居場所が知られたと思った。
だから叔父の買ったマンションに喜んで引越ししたのだ。




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