世界が滅んでもという言葉は存在しない
love
だからそう言ったじゃないかと、過去の自分が笑った。
今より幼い丸みのある輪郭の中で、笑みを描いて細まる瞳。
その笑顔はひどく楽しそうで、自嘲に満ちていた。

そうだった、と15年生きた自分は思う。昔の僕はそうだった。他人と同じことが出来ないくせに、他人と同じであろうとする。今の僕はそれがすごく不思議で仕方ないのだけど。
人は、周りと同じである自分を見てほしがっているのだと思う。髪型やら衣服やら、果てはメイクや好みまで、“その他大勢”と同じでなければ気が済まない、安心出来ない。そして言う。同じ姿形をした個体が、『私は私だ』と。
数年前は希少個体から脱したいと幼いながらに思っていた。でも今は、“その他大勢”の中の一つにだけはなりたくないと、心の底から思う。いや、願っている。だからこそ、過去の自分の思考回路や、“その他大勢”になろうとする個体の言動が、今の僕には酷く滑稽で、不可思議極まりないものなのだ。
だからだろうか。今の僕が好きになるもの、興味を惹かれるもの、物事に対する思考。その殆どは、おそらく一般社会には受け入れられない。

僕は、そんな“異譚”的な僕の思考や思いを共有できる“友達”が欲しいただの“女子高生”である。
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