王太子殿下の溺愛遊戯~ロマンス小説にトリップしたら、たっぷり愛されました~

誰かを大事にしようとも、されようとも思っていなかった。

これまで自分が本気で恋をできなかった理由も、あの夜にキットがキスをくれなかった理由も、彼が怒っていたように見えた理由も、すべてランバートのその言葉に突き付けられたような気がする。


ランバートはショックを受けたように固まるエリナを横目で見て、少し視線を彷徨わせて考え事をしてから、またクツクツとおかしそうに笑い始めた。


「そういえばお前は、ランス公爵の乳兄妹らしいな。私はてっきり、王子と公爵を二股してるのかと思ったぞ」

「ちっ、違いますよ!」


ウィルフレッドとは一度も踊らなかったとはいえ、あの夜は彼のパートナーとして舞踏会に出席したのだから、そう思われても仕方がない。

しかし今のウィルフレッドにはウェンディがいるのだし、自分も男性関係が派手なタイプと思われては堪らないので、エリナは慌てて首を振った。


「公爵からの手紙には"妹をくれぐれもよろしく"とあった。彼のことは気に食わないが、私にもアリスがいるから、本当の妹以上に可愛がってしまう気持ちはよくわかる」

「あっ……」


ランバートがアリスの名前を出したとき、とても優しい顔をしたように見えて、エリナは小さく声を上げる。
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