厄介なkissを、きみと
「そんなカンジ、って…。どんなカンジなんだか。テキトーすぎだよ」
蒼井さんはクスクス笑うと、小動物のように一粒、また一粒と枝豆を口に放り込んでいく。
「すみません、ね」
蒼井さんにつられるように、私もまた、一粒、また一粒と枝豆を口に放り込む。
「あゆちゃんに、恋のお相手出現!?とか思ってよろこんだのに」
「……それ、言わない約束ですよ」
ふたつ年上の蒼井さんは、部署は違うけれど、私を妹のように可愛がってくれている。
ランチや、休日のショッピングや映画、今日みたいな飲み会なんかも、
「あゆちゃん、一緒に行かない?」
透き通るような声で誘ってくれる。
綺麗だけれど、それを武器になんかしないで、いつも自然体。
私の、憧れの女性。
「おい、そこ!
女二人で、枝豆ばっかりがっつくなよ」
一緒に飲んでいた男性社員に指をさされて笑われたけれど、蒼井さんは、
「うるさーい」
と言って、ケラケラと笑うのだった。