厄介なkissを、きみと
「イケメンだったりするの?」
枝豆に手を伸ばした蒼井さんが、私の顔を覗き込むようにしてそう言った。
「そんなこと、ないと思いますけど」
なぜ翔平のことを話題に出してしまったのか。
酔いがまわった今、数時間前の会話の内容を思い出すことは不可能に近い。
「私も会いたいなぁ、初恋の人に」
頬づえをつき、トロンとした表情の蒼井さんがそう呟いた。
「いやいや、初恋の相手じゃないし」
「え?そうなの?」
「残念ながら。ただの、同級生です。
家は近所だけど、一緒に遊ぶこともなかったし。
高校は別々だったから、中学を卒業してからは顔を合わせることもなかったし。
あっちは、一年浪人して県外の大学に行ってたから。
だから、まぁ、そういうんじゃなくて。
好きとか、そういう感情を抱いちゃうほどの間柄じゃなくて。うん。そんなカンジです」