厄介なkissを、きみと

きつく目を閉じたのは、覚悟を決めたからじゃない。


これ以上、無理だったのだ。


すぐそこにある翔平の顔を、見ていられなくなったから。


「………っ」


けれど、すぐに後悔した。

真っ暗闇の中では、集中してしまう。

意識も、細胞も。

私のすべてが、翔平の唇へと集中してしまう。


唇が離れて、ゆっくりと目を開けて。

すぐそこにある翔平の顔を見つめて。


もしここで、

「どうして?」

と訊ねたら、翔平はなんて答えるだろう。


ごめん、と謝るのだろうか。

いいわけを、あれこれ並べたりするのだろうか。

< 23 / 32 >

この作品をシェア

pagetop