NENMATSUラプソディ
 「優菜!」

 私の感傷的な星空ウォッチングを切り裂くような声が辺りに響く。

 え?私の名前がそんな風に呼ばれることは無いのですが。どこにでもある名前だし、とスルーしようとしたが、会社から出た人間が声の主を見て私を見た。


 んがっ!!!(鼻濁音)昨日のホスト!!

 え、どうしよう。

 まさかお客にならないなら昨日の金払えとか言うのじゃないだろうな。

 だから水商売は怖いんだ。

 とりあえずもう一度わかるように話をして、ダメなら美妃に間に入ってもらおう。
 確か美妃が入れあげてるホストってナンバー1とか何とかとりあえず偉い人っぽいし。

 これ以上注目されたくもないので、というかこれ私にこんなイケメンが名前呼んでるって明らかに何らかの金銭関係が成立している間柄っぽい!!

 「ちょっと!ちょっとなに、どうしたの?私お店にはいかないから同伴とか無理だし」
 「リベンジさせてよ」

 そう言って、ホスト氏はにこりと笑う。

 「リベンジ?」
 「そう。昨日俺負けっぱなしだったから」
 「ええー??なになに?そんなに悔しかったの?」

へえ、昨日はそんなふうじゃなかったけど、やっぱり悔しかったのか。まだまだ若いな。昨日は接客がらみだったから、今日は逆に全力で来るってこと?全力で戦える敵認定としての女になんか負けらんないということ?

 「しょうがないなあ。そう言うなら、受けて立ちましょう!言っとくけど、私、全方位死角なしだよ」

 すると、ホスト氏は何を思ったか腰に手を回してきて、顎を引き寄せられる。え?なにこれ。

 「今日は俺のテリトリーで、よろしく」

 そう耳元で告げられる。

 え?テリトリー?

 そのまま連れられて、なんだか高級そうな車の助手席に押し込められる。

 え?え?

 「じゃ、行こうか?」

 そう言って車は滑る様に街へ走り出す。


 ええええ!どうしよう、これ何というオプションなの?私お金持ってないけど!!



 
< 16 / 28 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop