【完】キミと生きた証
今日もお見舞いに来たけど、ちとせはほんの少し前に寝たらしい。


「ごめんね瞬くん。いつもありがとうね。」


「いえ。」


お母さんと二人きりで、ちとせの可愛い寝顔を見てた。


俺が買ってきた花はちとせが好きって言ってた暖色のガーベラ。



俺が花瓶に生け替えると、ちとせのお母さんが口を開いた。



「私ね・・・ちーちゃんの気持ちよりも、瞬くんの気持ちの方がわかるんじゃないかって思ってたの。」




ちとせのお母さんはゆっくり、今までのことを話してくれた。


ちとせのお父さんと付き合い始めた中学生の頃。


ちとせのお母さんは実業家の娘。


体の弱い彼氏なんてと大反対されたらしい。


そしてちとせのお父さん方の親も、誰かと付き合うなんてと反対したらしい。


無理して寿命が縮むようなことがあってはならないって。



「でもね・・。大好きだったのよ。だから私にとって病気なんて一緒にいない理由にはならなかったの。何回も振られたけどね。」


「・・・ははっ。俺も最初に一回振られました。」


「まったく。親子ねぇ・・。」




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