【完】キミと生きた証
そう願った、2月を目前に控えた頃。


あたしの退院の日が来た。



って言っても、家での生活の中でもホルタ―心電計をつけてデータをとったり、酸素濃度を事細かに見たりするらしいから、学校にはまだいけないけど。



「・・・ただいま。」


久しぶりの家。




自分の家の匂いに気づくのは、いつだって退院明けのこの日だけ。



カレンダーはまだ1月。



「・・・2月に間に合ってよかった。」



カレンダーを見つめるあたしにお母さんが問いかける。



「2月に何かあるの?あ、バレンタイン?」



「それもだけどね、瞬のバスケが観れるんだ。」



「そっかぁー・・。嬉しいね。そんなの観たら、また元気でちゃうね。」



お母さんはにこにこ笑う。



9月に一度心停止してから12月の終わりまで、ずっとどん底だったあたし。



それを救ったのが瞬だって知って、お母さんは瞬にみかんを何袋あげたかな・・ってくらいお礼してた。



まだまだ、足は浮腫んでて、いろんな薬の量は入院前より増えたまんまだけど。



もっと頑張りたい。もっと生きたい。



できればもう落ち込まずに、・・・病気になんか負けないで、笑顔で生きていたい。





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