【完】キミと生きた証
「なんか旅行みたい・・。」


嬉しくてくすりと笑うと、仁奈ちゃんがこっちに寝返りを打った。



「おくれてきた修学旅行だ!」


「修学旅行・・・っ!」


その響きに目をきらきらさせるあたしを、仁奈ちゃんが笑う。



「ちーちゃんのいない修学旅行・・・寂しかったんだぞー!」



「きゃははっ!くすぐったいよ仁奈ちゃん!」



「ははっ!もー、大の大人が何やってんだろうね!」



笑いを落ち着けたあたしたちは、あおむけになって、天井を見上げた。



「修学旅行と言えば・・・恋バナだよね。」



仁奈ちゃんがぽつりとつぶやいた。



「・・もしかして仁奈ちゃんカレシできたの!?」



「・・・最近ね?」



「えぇ!?ダレ!?って、あたしが知ってるわけないかぁー・・。」



「知ってるよ?」



「えぇ!?だっ。けほっ。だ、だれ!?」



「ちーちゃんあわてすぎ!むせないでよ!!あははっ!」


笑ってごまかそうとする仁奈ちゃんを向いて、あたしは真剣に問いただす。



「・・・わかったよー。言うよ。えーっと・・・一馬くん。覚えてるよね?」



「えっ!!瞬の親友の・・・!?」



「うん。」



幸せそうにはにかむ仁奈ちゃん。


北工のバスケの試合を観に行ったとき、ふたりが仲良くなりそうな気は、なんとなくしてたんだよ。



そっか・・・。

きっと今、すっごく幸せなんだ。


仁奈ちゃんの恋する笑顔がとっても可愛い。




「・・・うれしいっ!仁奈ちゃん、幸せになって!」



「へへっ!ありがとう!一馬くんとの出会いだって、ちーちゃんのおかげだもん。ありがとうね♡」



って、また頭を撫でられるのは、なぜかあたし・・・。




「ちーちゃんも、瞬くんと復縁したし、仁奈も一馬くんがいるから。いいかなぁ・・・。」


仁奈ちゃんは、幸せそうな笑みを消してあたしをみつめた。





「懺悔があるんだよ。ちーちゃん。」



「懺悔?」



「・・・うん。仁奈ね・・・。」



仁奈ちゃんの声に耳を澄ませた。








< 462 / 478 >

この作品をシェア

pagetop