【完】キミと生きた証
ここは特等席なんだ。


真っ白に曇ってしまっているガラスの扉。
この30センチ四方の一角だけ、時計を覗くために曇り止めが塗られてるの。



ここからさりげなく、待合の外の様子を見ていられる。



ガラス越しに見えるのは、急な雪で自転車で帰るのを止めた生徒かな?



あたしの高校の生徒と、もひとつこの近くにある工業高校の生徒が入っては出てっちゃう。



せっかく、あったかいのにな…。
ここで待って行けばいいのに…。



まぁ、いっか。



マフラーを外して、人間観察スタート。



あっちの生徒はきっとあたしと同じ高校。
そっちの生徒は違うかな。


あたしの通う一応進学校な南高校は学ランとセーラー服が指定の制服。


駅より北にある北工業高校は、ほとんど男子校のようなもので、男子はあたしの学校と同じく学ランが指定の制服、小数の女子はあたしたちと同じセーラー服。



なのに、すぐにどっちの生徒なのかわかっちゃう。




一言で言えば、さわやか・清楚・まじめ系は南高校。

派手・不良・やんちゃ系は北工業高校。




しばらくすると、人が途切れてしまった。


暇になっちゃった・・・。



だからあたしは、ひとりぼーっと、お鍋から蒸発する湯気を眺めてた。





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