私の王子様を見つけました
二年前まで奈美と暮らしていたマンション。


何となく気まずくて、中々入れないでいた。



「直人が出て行った時のままよ。どうぞ入って。」



奈美の気持ちが分からない。



「直人がどう思ってるのか分からないけど、これから一緒に仕事をするなら、気まずい関係は嫌だから話したかった。」



そうだった。



俺たちは二年前に終わっている関係なんだ。


「悪いけど直人と離婚したことは後悔してないの。社長とは上手くやってるし、恋愛感情とかでなくて、良き仕事のパートナーだから。」



分かってるけど、ごめん、女々しくて本当にごめん。



口には決して出しては言えないけど、今も奈美が好きだ。



「だから、直人も私の事は気にしなくていいから、社長を支えて上げて欲しいの。」


拓斗は俺なんか必要としていないよ。



だけど、今は拓斗の近くにいれば、こうして奈美と話す事も出来るし。


真凛の事も心配だから、もう少しここにいたいと思う。



拓斗の本心を聞くまで、ここを離れる訳には行かない。


拓斗には本当に好きな女と幸せになってほしい。


俺も幸せになれるだろうか。



その時、スマホが鳴る。



拓斗からだ。



なんだよ、迎えに来いと。



あの美人女社長とお泊まりではなかったのか。


可愛い弟を迎えに行くとしますか。








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