私の王子様を見つけました
東京に戻った次の日、社長に呼び出された。


社長から告げられた言葉に声がでない。



「おまえはしばらく安め。」


首ですか。


商品としての私も必要がないと言う事なのか。


どう答えて良いのか、考えていると。



「心配するな、くびではない。おまえが疲れてるようだから、休暇をやるといってるんだよ。」


休暇なんていらない。


仕事がしたいです。


下を向いたまま声を出した。


「休暇をいただいてもやることもないし、行く場所もないです。」


一人で旅行なんて出来ないし。


「何処か行きたい所は?」


行きたい所。


何処だろう。


以前旅行のパンフで見た北海道へ行きたいなと思ったぐらいで。


他には思い浮かばかない。


目の前に北海道の旅行パンフがずらりと並べられた。


わぁ、凄い。


「おまえを北海道へ連れてってやるよ。」



「へっ。」


思わず可笑しな声が出てしまう。


あの、あの、どういう事なのでしょうか。


「行きたくないのか。」


行きたいですと大きな声で叫んでいた。


拓斗と一緒に北海道旅行だなんて、嬉しくて即死しそう。


でも、拓斗も一緒に行ったら仕事はどうなるのだろうか。


心配だけど、今は仕事の事を忘れよう。


顔が緩みぱなし。


うふふ、急に元気が出て来た。


そんな私をみて、おまえは本当に単純だと拓斗が笑うけど、気にもしない。

















< 48 / 61 >

この作品をシェア

pagetop