私の王子様を見つけました
何故か、夕食は拓斗と華さん、長谷川君と私の四人で食べる事になってしまった。


拓斗は長谷川君を睨みつけてるし、華さんには睨まれるし。


私は食事が喉を通らない。


気まず過ぎます。



「長谷川君って言ったけ。真凛さんとはどんな関係なの。」


いえ、いえ、どんな関係もありません。


今日知り合った、友達ですけど。


「僕の一目惚れです。」


一目惚れ?


誰が、誰に。



3人が私を見た。



自分で自分を指さしてみると。



拓斗にあほかと頭をこずかれた。



痛いんですけど。


「僕の真凛に暴力を振るわないで下さ
い。」


「真凛はおまえの者なんかじゃない。うちの商品だ。」


長谷川が言い返そうとしたので、手で長谷川の口を押さえた。


長谷川が悲しそうな顔で見たけど、そんな事は気にしない。


「長谷川君ありがとう。長谷川の気持ちは嬉しいけど、今は恋愛してる暇はないの。モデルの仕事を頑張りたいんだ。」


長谷川が私の手を握る。



「うん、真凛の気持ちは分かったけど、僕は諦めない。もっと大人になって、又告白するよ。」


ありがとうと微笑むと、横から拓斗が口をはさむ。


「何回告白しても無駄だ。」



私が拓斗を諦めない限り、誰かを好きになる可能性はない。


本当にそれで良いのかな。


誰かを好きになれば、きっと楽になれるはず。


それが出来ない自分が情けない。


ごめんね、長谷川。


私が拓斗を諦める事は決してないから、このまま期待するような態度をとってはいけない。


「長谷川君ごめんなさい。私にはずっと諦められない人がいるの。その人は全く私の事なんか眼中になくて、嫌われてるけど、それでも好きなの。」


華さんがバカにしたように笑った。


分かってる、拓斗が私を好きになる事は絶対ない。


それでも、こうして一緒に仕事が出来る事が嬉しい。


拓斗は無言で食事をしているし。


それでも諦めないと言った、長谷川君が10年前の自分とだぶって見えた。






















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