初めての恋はあなたと。番外編
「は、離れて下さい」

「小西さんがうんと言えば離れてあげる」

「言いません!」

「ふーん…俺は別にいいけどね」


そう言いながら坂井さんは、さっきよりも距離を縮めてきた。

両手で逃げ道を塞がれ、容易には逃げられない。
由依とかなら、上手いことこの状況から逃げ出すだろう。

しかし私にはそんなことは絶対出来ない。技術もなければ、経験もない。


「意外と頑固だね…キスでもしたら素直になる?」

「な、何言って…!」


坂井さんは意地悪そうな笑みのまま、近づいてくる。

私は驚きと恐怖でもはや声は出なかった。

私、このままこの人にキスされるの?
そんなの…絶対嫌だよ。
和也さん以外とだなんて。

誰か助けて…。

ギュッと目を瞑り、来てくれない可能性しかない和也さんを思い浮かべた。
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