初めての恋はあなたと。番外編
「ふう…」

周りにバレないよう小さく溜め息をついた。
原因はもちろん原さんだ。

原さんと体の関係を始めて約一ヶ月。
つまり元彼と別れた直後から始まったということである。

きっかけは総務と営業の親睦会。
江崎課長に連れ去られた千夏を見送ったあと、何故か側にいた原さんにお酒を勧められ結構飲んでしまった。

記憶はうっすらとあるが、あまり覚えていない。
起きたらベッドにいて横には原さん。

ああ…そういうことか、と予想以上に冷静に状況を受け入れることが出来た。

とりあえずベッドから離れよう。

そう思い、横にいた原さんを起こさぬよう静かにベッドを出ようとした時。


『もうちょっと…』


と寝言で言われ、寝ているにもかかわらず私の腕を強く引っ張り、私は出られなくなったのだ。

掴まれた腕がじんわり熱を持っていた。

男性に、しかも営業課でもイケメンで性格も悪くないと言われる相手に引っ張られたら、誰でも緊張はするしドキドキするはずだ。

それなりに経験を積んできたつもりなのに心は戸惑う。
原さんは寝ているというのに、そんな心を悟られないよう必死に抑えた。
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