俺様社長とスキャンダルキス~おまけ完~
「飲み物はいかがなさいますか?」

「俺はいつもの。彼女には甘めの物を適当に。

舞、お腹は?」


何かを食べる気分じゃなかった舞は首を振った。


それを見た店員は、頷くと部屋を出ていった。


「社長、あの」

「何も言わなくていい・・・

喋る気分でもないのに、無理する必要はない。

ただ、夜景でも見ていればいい・・・」


英志の気遣いに、舞は素直に従う事にした。

・・・しばらくして、飲み物を運んだ店員が来たのはその一度きりで、

後は、英志と舞の二人きりだけの空間だった。


初めての環境だった舞だったが、

なぜかそれがとても心地よくて、

揺れていた心も、何時しか穏やかな状態に戻っていった。



英志の第一印象は最悪で、

舞が嫌いなタイプそのものだったはずなのに、

そんな英志が傍にいるのに、穏やかになっていく自分が、

なんだか変な感じに思った。



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