白い月~夜明け前のその空に~
「そうかー?そのぬぐるみ、取って欲しかったんだろ~?」
彼の視線の先、今彼女のバッグについているアルパカのキーホルダーは、確かにずっと欲しくてなかなか取れずに諦めていたクレーンゲームのもので、今日長澤が2回目で取ってくれたのだ。
決して甘えて懇願した訳ではないが、いいなーとは呟いた。
照れくさいが、お礼は言わなければ…。
「これは、本当に嬉しかったよ。うん。…ありがとう」
「どういたしまして」
ぺこっとお行儀よく長澤はお辞儀をした。
「私も、楽しかったよ。久しぶりにお腹が痛くなるほど笑ったし、あのプリクラ、本当に酷すぎっ…、絶対里乃に見せたい」
優月は思い出してまた笑いがこみ上げる。
「よかった、優月も楽しかったなら。……俺、やっぱ好きだ。優月のこと。本気になりそうってあの時言ったけど、これはマジだから。返事はすぐにじゃなくていい。自分の気持ち伝えねーと何も始まらねーしな。…やっと言えた」