白い月~夜明け前のその空に~
「ん?そんなに来ちゃまずかったか?」
「いや、そんなことないんだけど…」
二人でいるとこを周囲に見られるイコール、さっきの母親達の会話での話題から、必然的に隣にいる人が“夫”に見られることになる。
みんながみんな自分達を夫婦と思って見ているわけではないにしろ、優月は気まずくてならなかった。
深い理由まで分からないものの、彼女の不自然さに何となく気づいた陸。
少なからず、自分にも思い当たることだと。
気持ちを入れ替えるように陸はすっと鼻をすする。
「ちょっとだけ、二人でいたいなって思った…」
隣でやっと聞こえるくらいのくぐもる声。
けれど、優月の耳にははっきり聞こえた。
さっきまでの冷や汗とリンクする早鐘が、この瞬間から甘く胸を締め付ける早鐘へと変わった。