結びの魔法
「・・・ますますここは日本じゃないね・・・。」

陽がやっと口を開いた。僕もいつものように温かい笑顔で言葉を返す。

「そうだね。でも人はたくさんいるから、帰り道を聞こう?ね、陽。」

・・・僕らは偽りの中で生きていかなければいけないのだ・・・。

「・・・あの、すみません。」

秀が近くを通りかかった男の人に声をかけた。格好からして多分農家の人だろう。

「kcdんklfんhりglsdzfkg;jrsd?」

「・・・え?」

そのおじさんは僕達の知らない言葉で話し始めた。僕らも必死で言葉を理解しようと、

してもらおうとするが無理だった。身振り手振りでゆっくりと話しているうちに、

どんどん人が集まってきてしまいには、小さな子供に何かを言われて笑われた。その子

供は茶色の髪と青い目をしていることからやはりここは日本ではないことが断定でき

る。

「ど、どうしよぅ・・・。ここ本当に外国なのかな・・・?」

陽が心配そうに言った。確かに言葉と身なりからしてそう信じざるを得ないらしい。

「英語なんて簡単なものしかやらなっかたからな・・・。」

「えぇと、ウェアー・・・。」

さすがに秀も英語は話せない。かろうじて『どこ』という単語を口にしてみたものの次

に来る言葉が分からない。するといつも間にか人々は左右に分かれて一つの道を作って

いた。そして、そこの先からは一人のおじさんが歩いてくる。そして僕らの姿を確認す

ると、手招きをした。

「あ、呼んでるよ!よかった。通じたんだ。」

僕は安堵の溜め息をついた。そのおじさんについていくと一軒の立派な家に連れて行か

れた。そして中に入るとふわふわのソファーに座らされた。そのソファーはとても変わ

っていて透明な布の上に手書きで何かの模様が書かれている。

「jfvんjんんhcjsdkchsdjkhcvんきjs。」

また訳のいことを言うと、飴を僕らに差し出した。

「・・・また子ども扱いするぅ・・・。」


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