結びの魔法
陽が少しぶすくれる。よかった、少し元気になったようだ。

「ご好意は受け取ろう。」

秀はそう言って飴をつまんで口元に持っていった。

「そうだね。せっかく出してくれたんだし。」

僕も飴を取る。

「・・・べ、別に飴が食べたいわけじゃないんだかんな!」

ついに陽も飴をつまんだ。そしていっせいに口に放り込む。

「まさか毒なんて入ってないよね?」

陽が面白半分に冗談を言う。

「まさか。言葉が分からないからって失礼だろ?」

僕はそういった。けれど次の瞬間、脳に激痛が走った。

「---っ!!」

もう遅かった。飴を取り出そうにも口が動かない。痛みはどんどん増す一方で体がソフ

ァーから転げ落ちる。もう感覚も死んでいて痛みも何もない。横では同じように二人が

もがいていた。そして聴覚が麻痺し、何も聞こえなくなってくる。そして最後に視界が

薄れてプツリと途切れてしまった。
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