佐々倉のカノジョ。


無邪気な茜にそう返された大空は少々ムッとしてから、俺に尋ねた。

「つか、お前、姉貴のなんなの?」

俺は一旦、茜を下ろして、大空とは反対側のソファに座る。

そうすると、俺の隣に座る茜。


「さっき璃乃が言ったろ、ただの友達だって」


「なんでナリヤンみたいなお前が姉貴と友達なんだよ」

いちいちムカつくなこの野郎。
一発殴ってやろうか。


「ナリヤンじゃねぇし。そもそも別にヤンキーじゃない」

そもそもヤンキーってなにが基準なんだ。

「変な頭なのに?」

「うっせぇなさっきから変な頭って。ただ染めてるだけだろ」

下から心配そうに見つめる茜の瞳が俺の熱を下げる。


「姉貴にお前は合わねぇっつの」

「なにお前、璃乃の彼氏じゃあるまいし」

「んなっ!!」

ガタンっ、
大空がソファを蹴り倒す勢いで立ち上がる。

「…あーっ、ほんとうぜぇお前!!姉貴、俺、出掛けてくる!!」


「えっ!?ちょっと、もう暗くなるよ!」

璃乃がそう言ううちにも大空は家から飛び出していった。

なにアイツあんなに動揺してんの。
意味わかんねぇ。


「まさかアイツ…」

「あらし…?」

茜を抱き上げて、璃乃の元に連れていく。

「俺アイツ探してくっから」

「でも……」

「お前が出ていったって危ないだけだろ」



< 17 / 63 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop