佐々倉のカノジョ。

「なに、なんでキスぐらいでそんな顔してんの」


ど、どんな顔してるの私?


「んな顔真っ赤にして…、ガキじゃねぇんだから」


「そ、は、う、……」

うまくしゃべれない。

なに、してるの、嵐くん。
隣の部屋に、茜がいるのに。


そんな瞳で見つめないでよ。

心臓の音が、嵐くんに聞こえちゃいそうだよ。


「もっかいする?」

「え、や、だめ!」

「知らねぇ、お前が悪い」

「え、なんっ、んん…」


頭がくらくらする。

甘過ぎて、溶けそう。


だんだんソファーに寝かされてる気がするのは気のせい?




「おい、なにしてんだよてめぇ」


「!?」


「あー、んだよ、もう帰ってきたのかよ」


大空の声だ。

嵐くんで見えないけど、なんか、すごく怒ってる?


しっかりさせたいのに、甘い痺れが脳を使うことを拒否する。


「てめぇっ……!!」


ぐっ、と大空が嵐くんの襟を掴む。


「あ?言ってもいいんだぜ、ここで」


にやりと笑う嵐くんに、大空が驚いた表情をする。


なんの話してるんだろう、二人とも。


私は相変わらずソファーに横になったままで、体を起こせない。


なんか眠くなってきたよ…。




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