佐々倉のカノジョ。


「え?彩佳、休みなの?」


3組、つまり自分の教室に到着してそうそうこんなことを聞いた。


「うん、なんか、体調不良とかって」


なんで私に言ってくれなかったんだろう?


なんだか、胸騒ぎがする。



「おーい、翔矢ー!!」


私がなにかを考える前に、そんな声が、耳に飛び込んでくる。


なんだっけこの声、聞いたことある……



戸口に顔を向けると、


「あ!和哉……くん!?」


「おゎぁぁっ!?璃乃ちゃん!?えぇ!?」


驚いて名前を呼び合う私たちに好奇の視線が刺さる。


「あっ、ちょ、外行きましょ!」


「う、うん?」


和哉くんはまだ混乱してるみたい。


嵐くんが同じ学校とは聞いたけど、まさか和哉くんまで……。


仲いいんだなぁ、二人とも。


……なんか妬いてるみたいになっちゃった。


「ここなら平気……」


「え!ねぇ、璃乃ちゃんこの高校だったんだ!」


空き教室に着いたとたん、和哉くんがそう大声で言う。


「か、和哉くん、しーっ」


口に人差し指を当てて言うと、和哉くんははっとした顔で、両手で口を塞ぐ真似をした。


「俺、いっつも嵐に声でけぇって言われるんだよなぁ」


「あはは……」


それは嵐くんの言うとおりかも…。




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