佐々倉のカノジョ。


「あ、そういえば嵐くんは?今日は一緒じゃないの?」


すると、和哉くんは少し困ったような顔をして言った。


「あいつ、夏休み中に傷害?で捕まってさぁ。今停学中なんだよね」


「へ?」

傷害?停学?


「どういうこと……?」


「んまぁ、簡単に言えば、喧嘩して通報されたらしいんだよ。しかも結構ボコボコにしちゃったらしくて」


「…」

うそ。うそうそ。

嵐くんは優しいよ。
そんなことするわけない。

絶対になにかあったんだ。


嵐くんがそこまでになることが。


「…和哉くん、放課後、嵐くんの家行きたいんだけど……」


「あ~……、いいけど」


歯切れ悪くそう言う和哉くんの表情は、俯いていた私には見えなかった。


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