恋をしようよ、愛し合おうぜ!
幸い野田さんちに着くまで、お互い触れることはなかった。
というのも、段ボールの荷物をお互い抱えていたからだ。
だけど野田さんは、エレベーターの中でもソワソワしてたし、玄関のドアを鍵で開けるとき、「くそっ」とか「サッサと開け」など、ゴチャゴチャつぶやいていた。

私たちは荷物を抱えたまま、靴を蹴って脱ぐと、野田さんの誘導で寝室へ行った。

寝室へ入るなり、段ボールをドサッと置いた野田さんは、私がまだ持っていた軽い段ボールと私のバッグをその辺に置くと、大きな両手で私の両頬に触れながら、顔を近づけてきた。

「なつき・・」
「ちょ、っと待ってっ!」

気づけば私は、二人の間に手を挟み込んでいたので、また野田さんは、私の手のひらにキスした形になってしまった・・・。

「・・・ぁんだよ」
「えぇっと、コンタクト!」
「あぁ?」
「このまま足腰立たなくて疲れて寝落ちしそうだから、今の内にコンタクト、外しておきたい。前酔っ払ったとき、コンタクトつけたまま寝ちゃって。目がゴロゴロした・・・」
「わーったわーった」と野田さんは言うと、スタスタと歩き出した。

お泊りセットが入ったバッグを持った私は、すぐ野田さんの後について行くと、野田さんは寝室を出たところにあるリビングで、コートを脱いでいた。

あ・・・そういえば、私もまだコート着たままでした・・・。

野田さんは黒いコートを脱ぎながら、「風呂場はそこのドア」と言った。

「あぁはいっ」
「早くしろよー」という野田さんの声を背中に聞きながら、私は「了解っ」と返事をすると、お風呂場へ直行した。

そこでコンタクトレンズを外し、メガネをかけると、リビングでコートを脱いだ。
野田さんもそうしているので、私の赤いコートはソファに置いた。
もちろん、野田さんの黒いコートの隣に。

そして、私を誘うように少しドアが開いている野田さんの寝室へ行った。





寝室へ入ると、野田さんはすでにスーツの上着を脱いで、ネクタイを外している状態だった。
ワイシャツのボタンも全部外している状態なので、その向こうにある白いシャツが丸見えだ。

その野田氏は、ワイシャツの袖ボタンを外しながら、「そこに突っ立ってねえで、おまえもサッサと脱げ」と言った。

「あぁごめん!つい見惚れちゃって」と私は言いながら、野田さんの言うことはごもっともだと思いつつベッドに近づくと、そのままベッドサイドに腰掛けた。

あぁ、なんか・・・今更だけど緊張してきた。
エッチするの久しぶりだし。
それに、正式に離婚した翌日にイタすというのも・・・。

でも、野田さんと知り合って、もう4ヶ月と少しになるし。
お互い好きって分かってから、2ヶ月以上は経ってるし。

「おいなつきっ!」
「へっ!?あぁごめんっ!」

ベッドに腰掛けたまま、全然脱いでなかったことをやっと思い出した私は、サイドテーブルにメガネを置くと、真っ白なニットワンピの前ボタンを外してサッと脱いだ。
パチッという静電気の音が聞こえて、チクッとした腕をさすったとき、「痛いのか」という低音ボイスが間近で聞こえた。

「えっ」
「腕」
「あ・・・ううん、大丈夫・・・」
「ホントだ」
「はい?」
「蕁麻疹。消えてんな」と言った野田さんは、ニコッと笑った。

う。うううぅっ!
そのたれ気味の目で「ニコッ」は大反則でしょーっ!!

しかも、ただいま野田氏は、濃紺のボクサーショーツだけ身に着けている状態だし!
さらに、野田氏ってば、私がメガネを置いたテーブルの引き出しから、コンドーム取り出したし!!

私の視線を感じたのか、野田さんが「なんだよ」と言ってきた。

「あ。えと、もう・・・つけるのかなー、なんて思っちゃったりして・・・」
「余裕ねえくらい準備はできてっからよ」
「ははっ。は・・・あの、のださん・・・」
「なに」と言う野田さんは、ただいま「装着中」のためか、私に背を向けている。

あぁ、野田さんって逞しい背中してる。
それにおしりとか、腿とか・・・全部が「男!」って感じムンムンで、すっごくセクシー!

・・・何だか、見ている私の方が恥ずかしくなったので、慌てて目を背けた。


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