恋をしようよ、愛し合おうぜ!
「俺も朝よえーから・・・そう何度もあることじゃねえよ。あ、あ。なっちゃん。そのまま・・・俺に背中向けとけ・・・後ろから入れてやっから・・・それともこれって・・・横?とにかく、おまえは動かなくて・・・いいぜ」

と言いながら、野田さんは私の背中のあちこちにキスをしている。

「も・・・淡泊って言ったの、誰ですか」
「俺。マジで」
「うそ」と私が言ったとき、右足が少し持ち上げられた。

と思った次の瞬間には、その間から野田さんが挿入していた。

「濡れてっけど・・・相変わらず狭いな。痛いか」
「ううん、だいじょー、ぶだけど、激しいのは、もう少し後で」
「おう。おまえ、5日から仕事なのか?誕生日なのによ」
「真吾くんだって、仕事で、しょ」
「・・・ああ。イチゴ、買ってくるからな」
「ぅん」

もう私、朝弱いのに。
いや。それより、野田氏だって朝弱いはずなのに!
なんでそんなに元気はつらつなの?
・・・きっと、ときめきホルモンが活性化しているおかげだよね。

と結論づけた私は、フラフラしながら、どうにか野田さんを玄関まで送ることに成功した。





「真吾くん、お仕事いつまで?」
「明日。でも明日は大みそかだから、午前中あいさつ回りをして終わりだ。あ、なつき。アパート解約すること、大家さんに言ったか」
「うん。昨日の朝一で。1月10日までに引っ越せるなら、1月の家賃は1万円でいいって言われたよ」
「よーし。じゃあ仕事休みの間に引っ越し済ませようぜ」
「はぁい」と私が返事をしたとき、靴を履き終えた野田さんが、こっちを向いた。

「いってらっしゃい」
「おう。いってくる・・あ、なつき。これ」と言いながら、野田さんがコートのポケットから取り出したのは、鍵だった。

「昨日作ったのに渡すの忘れてた。それ、おまえんだから」
「・・・うんっ!」

私は新しい鍵と野田さんを交互に見ると、「ありがとう!」とお礼を言った。
野田さんはニコッと微笑むと、「いってくる」と言って・・・今度は本当に行ってしまった。

朝の見送りという一仕事を終えてホッとした。
だけど、野田さんに会えなくて寂しいと思う気持ちが、もう芽生え始めている。

でも私もすることがいっぱいある、と思っていたら、ピンポーンとドアチャイムが鳴った。
のぞき口から見ると、野田さんだったので、慌ててドアを開けた。

「忘れもん」
「何?取ってく・・・」

私が言ってる途中で、野田さんがキスしてきた。
野田さんの大きな手が後頭部と腰を持っているのに対して、私は両手で野田さんのコートの襟を掴んで、束の間キスに応える。

少しだけ舌を絡めた濃厚なキスは、すぐ終わった。
そしてキスした後、野田さんは息を整えながら、私の額に額をコツンと当ててくれた。

「・・・ったくよ。ガラじゃねえ。いってきますのチューとか、全っ然俺らしくねえ。俺、イチャイチャしすぎ。マジで恋愛モードに入ってらぁ・・・」とつぶやく野田氏の声は、諦めが少々入っているものの、まんざらでもないって顔をしている。

「私もだよ。奇跡だね」

私たちは額を当てたままニッコリ微笑むと、野田さんがまた唇にチュッとキスしてくれた。

「今度こそいってくるぜ」
「はい!いってらっしゃーい!」

私は幸せな気持ちで満たされながら、今日することを考え始めた。

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