恋をしようよ、愛し合おうぜ!
まずはお洗濯を始めた。
もちろんベッドシーツと枕カバーも含むので、結局2回した。

そこで野田さんは、乾燥機も持っていることが分かった。
洗濯機も立派なものだし、これなら私のを処分したほうがいいと、ノートにメモ書きをしておいた。

荷造りをするため、お昼過ぎに一旦アパートへ戻った。
そのときちょうど会った幸太くんが、トラックで荷物をいくつか野田さんちへ運んでくれたのは助かった。

それから洗濯物をたたんで直した。
野田さんは、予備のシーツを持っていないことが判明した。
私が使っていたお布団よりもサイズが大きいから、シーツ使えない・・・。

でも、こういうのって好みがあるから、私一人で買いに行くのもなぁ。
それに野田さんは、シーツの予備いらない派だから、持ってないのかもしれないし。
というわけで、「野田さんと一緒にシーツを買いに行くかも」とノートにメモっておいて、帰ってきたら聞くことにした。

それからキッチンを物色して、ネットでレシピ検索をした後、近所のスーパーへ食材を買いに行った。
料理しなさそうな野田さんは、私より鍋類を持っているし、炊飯器もある。
お皿とか、キッチン道具類はまだ運び込んでないけど、これなら大丈夫だ。

アパートにいたとき、野田さんから『今日は7時前に帰る』とメールが来ていたので、それまでに掃除と料理をすませておいた。

そして夕方6時過ぎ、野田さんから電話がかかってきた。

「ようなっちゃん。今仕事終わった」
「おつかれさま」
「今どこ」
「うち。って、真吾くんち」
「あ、そ。晩メシどーする」
「作ったよ」
「マジかっ!なんかいるもんあるか」
「ううん。あ、ビールとか飲みたいなら買ってきて。私はいらないから」
「すぐ帰る!」

元気のいい低音ボイスが聞こえたと思ったら、すでにスマホは切れていた。


肉豆腐とふろふき大根、わかめとネギのお味噌汁、きゅうりのお漬け物とニンジンごはんを感激の眼差しで見た野田さんは、バクバク食べてくれた。

「うんめぇ。おまえ、料理できんだなぁ」
「できるよ。あ、漬物はスーパーで買ったものだけどね」
「わーってる」
「ねえ、これくらいの量で足りる?」
「足りる」と答えた野田さんを、私はニコニコしながら見ていた。

「なんだよ」
「楽しいなぁと思って」
「何が。俺?」
「全部。アパートで荷造りしたり、ここを掃除したり、ネットでレシピ検索したり、スーパーに買い物行ったり。真吾くんのパンツや靴下をたたんだり。真吾くんのためにお料理したり、真吾くんと一緒にごはん食べたり。そういったこと全部楽しくて、幸せだなあって思った」
「ありがとな」
「ううん!でも私、仕事の日も時間も不規則だから、毎日はできない・・・」
「分かってる。家事は分担してやろうぜ」
「・・・真吾くん、料理できるの?」
「んー、メシ炊くことはできるぜ。後レンジでチンとか」
「あぁ・・・そう」
「たまにはレトルトか外食でもいいじゃん」
「それは全然オッケーだよ」
「よしっ。あ、おまえ、服どうした。俺クローゼットのスペース、まだ空けてなかっただろ」
「まだ段ボールに入れてる」
「わりい。後ですぐ空ける。とりあえず半分あればいいか?」
「うん。全然オッケー」
「クローゼット、もう一コ買うか」と言った野田さんの声は、嬉しそうに弾んでいる。

あぁ分かる。
私もすごく嬉しいから。

こうして私たちは、二人で暮らす基盤を少しずつ作り始めた。

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