恋をしようよ、愛し合おうぜ!
それから数週間後の2月終わり。
私は、野田さんの同期の奥村さんと、受付嬢の佐藤さんの披露宴に出席した。
そこで海外1課の「ウッチー」こと内田さん、一緒にプロジェクトをした同い年の荒川くん、そして事務の花田さんと再会できた。
もちろん、プロジェクト通訳のお仕事を紹介してくれた金崎さんにも再会したので、あのときのお礼を言った。

1課のみなさんは、私と野田さんがつき合ってることを知っている。
まさか金崎さんまで知っているとは思わなくて・・・ビックリした。

「今年のバレンタインデー。13日だけど、“俺の彼女、こんなに食えねえから”ってチョコレートを全部返している野田君を見てさ。そのときなっちゃんとおつき合いしていますって言われてねー。よかったよー。僕、安心した!野田君、しばらく仕事ばっかりで気難しくなってきてたけど、最近は丸くなった?いや、丸いのは僕の方だね。ハハッ。とにかく、哀愁漂ってたけど、とっつきやすくなったよ。なっちゃん、可哀想な野田君を救ってくれてありがとう」
「いえいえ。金崎さんが私にお仕事の依頼をしてくださったから、野田さんと出会えたんです。だから金崎さんは、私たちのキューピットですよ」
「あ、そう?嬉しいねー。ハッハッハッ」

あのとき、金崎さんが「あのこと」について、私にも、もちろん野田さんにも、いや、誰にも一言も言わなかったのは、金崎さんも知らなかったからなのか。
いや、仮に知っていたとしても、社外で、しかも野田さんの同期の結婚式という、おめでたい席で言うことじゃないし。

だから3月初めのある日、野田さんが難しい顔をして帰ってきたとき、私はいやな予感がした。

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