恋をしようよ、愛し合おうぜ!
その週末、俺はなつきを連れて実家へ転勤の報告へ行き、次の週末は、なつきのご両親が住む九州へ行ってきた。
本当はもっと後で俺のことを話すつもりだったなつきだが、来月にはミュンヘンへ出発だ。
だからその前に、なつきのご両親に会っておきたかった。

ご両親と会った俺は、なつきとは結婚を前提に、本気でつき合ってること、今一緒に住んでること、そしてなつきをミュンヘンに連れて行く許可・・・はもらえなくても、こいつを連れて行くのは確定だ。
とにかく、そんだけなっちゃんとのことはマジだということは、ご両親に知っててほしかった。

そんな俺たちの本気度が伝わったのか、ご両親は俺のことを歓迎してくれたし、なつきを託してくれた。


こうして俺たちは、3月中に挨拶やら荷造りやら、俺は仕事の引き継ぎを、どうにか済ませることができた。

俺のチケットは会社がビジネス(クラス)を用意してくれたから、なつきのも当然ビジネスを手配した。
もちろん、俺払いで。

というわけで、俺となつきは、4月4日から生活の拠点をミュンヘンへ移した。









昔アメリカに5年住んでたから、どの国へ行ってもすぐ順応できるのか。
「ドイツ語は全然分かんない」と言ってたなつきだが、借りてる部屋づくりを嬉々としてやったり、「スーパーで知り合った」という女友だちんちへ行ったり、うちに招いたりして、日々楽しんでるようだ。
たぶん俺より友だち多いんじゃねえか。
とにかく、活き活きしてるなつきを見てると、俺より早くこっちの環境に馴染んでるようでホッとしている。

そのなつきは、5月半ば、熊本の大学で講演をするため、10日ほど日本へ帰った。
残念ながら俺は仕事が忙しくて、休みが取れなかった。
ついでだからということで、その間なつきは、ご両親の家に数日滞在していた。








6月30日の今日、俺たちはミュンヘンの日本領事館へ婚姻届を出しに行く。
この日のために、戸籍の取り寄せやら婚姻届の記入やら、その他なんやら、俺たちは着々と準備を進めてきた。
俺の仕事はぶっちゃけ多忙だが、この日はどうにか休みを取れた。
というより、休めるために仕事がんばった!

妙に緊張して昨夜はなかなか寝つけなかった俺だが、なつきより早く目が覚めた。

仰向けから横向きに変えた俺は、なつきの寝姿にしばらく見入っていた。
俺に背を向けて寝ているからなつきの顔は見えないが、こいつのナマ背中を見るのも、実は好きだったりする。

なっちゃんは朝弱いからなあ。
もう少し寝かせてやろうと思いながら、やっぱりガマンできねえ俺は、むき出しになってるなつきの肩にそっとキスした。

「うーん。もうちょっとねむりたいー」
「おまえが誘ってんじゃねえか」
「もーしんごくん、なにいってんのー?わたし、ねてるだけじゃなーい」と言うなつきの声がすげー眠そうだったので、やっぱもう少しだけ寝かせてやることにした。

「・・・もう起きるの?」
「ああ。目覚めてっし」
「緊張してるんだ」
「べっつに!そりゃー・・・少しな」
「私も少しだけ緊張してる」

まだ眠たげな顔で微笑むなつきは、めっちゃセクシーだと気づいてねえらしいが、そういう自覚のないところも、こいつに惚れてる理由の一つだ。

「じゃあ私も起きようっかなー」
「早めに出ようぜ」
「そうしよ!私、“カフェショイ”のチョコレートクロワッサン食べたいっ」
「へいへい。おまえの今のブームだっけか」
「そうなのー」

俺はベッド下に落ちていた俺のシャツを拾うと、上体を起こしたなつきに着せてやった。
そしてシャツから顔を出したなつきの額に、俺の額をコツンとくっつける。

「なっちゃん。結婚しようぜ」
「うんっ」

俺たちは額をくっつけたまま、ニッコリ微笑んだ。

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