不機嫌なアルバトロス
事故だったと思うしかない。


俺が頼んだことで結果起きたことで、ここまで馬鹿だったと予測しなかった俺が悪いわけで。


嫌々自分を納得させて、家で寝かせることにした。




こないだと同じ、パターン、だなと思いつつ。



車の後部座席でぐっすりと眠る櫻田花音に、大きく諦めの溜め息を吐いて。



抱えてエレベーターで11階まで上がり、ベッドに寝かせた。




荒い、息遣いと。


火照った肌。


うっすらとかいている汗。


閉じられた、瞼。



眉間に、皺。



少し開いた唇。



思わず、一度離した手を伸ばして、寝ている頬に触れようとしてはっとする。




『…なにやってんだ、俺』




自分の意味不明な行動に半ば呆れつつ、寝室を出た。



別に欲求不満とか、ないんだけど。


気でも紛らわそうと、キッチンへ立ち、あぁ、そうだ、あいつ飯食ってないんじゃないか?と思い当たる。


だって、財布も持ってないわけだし。


熱があって、風邪だとしたら、食欲は余りないか?


暫く考えた結果、ポタージュを作ることにした。




包丁の音を聞きながら、今夜もクラブに行く予定だったことに気付く。



一瞬、置いて行こうかとも思ったが、すぐに思い直して、クラブに行くのを辞めた。



かといって誰かに連絡するわけでもなく。


要はすっぽかしだ。




葉月が怒るかもしれないなーなんて、思ったけど。



そんなの、知ったこっちゃないし。



でも五月蝿いから、携帯の電源は切っとくか。



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