不機嫌なアルバトロス
「なんで。クラブに行くなら話しかければいいじゃない。」
ランチ後のデザートタイム。
ガトーショコラを豪快に刺し、生クリームをたっぷりつけたフォークを私に向けながら、憲子が言った。
「…だって…話すこと、ないもん」
ダイエット中の私は、自分を戒めるように苦手なブラックのコーヒーに挑戦している。
正直、憲子のガトーショコラも、生クリームも羨ましすぎる。
この際、あのクリームをもらって、ウィンナーコーヒーにしてしまおうかな。
「じゃ、何しに行くのよ」
私の視線に気付いた憲子が呆れたようにクリームだけスプーンですくって私のカップに入れる。
「顔だけ、見て…充電、しに…」
言いながら、自分でも不甲斐なさすぎて、声が段々小さくなる。
それだけでいい。
なんか、もう、いっぱいいっぱいで。
他にどうすればいいのか、わからない。
ただ。
初めて恋をした女の子みたいに。
見ていたい。
「もし…なんか、その時思いついたら、、それはその時考える。」
手元のスプーンでくるくるとクリームをかき混ぜると、白い泡が黒のコーヒーに溶けて茶に色づいた。