不機嫌なアルバトロス
そういえばさりげなく道路側を歩いてくれていたような気がするし、

ドアも開けてくれていたし、

腕を掴んだりするのも、しっかりというよりは遠慮がちに。


メニューを見せる時も、触れそうだったけど、結局触れなかった。



女心を知り尽くした感じ。



「あれはきっと無類の女好きの、女慣れしている男!」


だけど―


「私から見たら花音も十分男慣れしているけど。あしらい方とか。なのになんでその人にいつもの花音を見せられなかったの?」


憲子が不思議そうに首を傾げて、ジョッキに口をつけた。


私は無言で徳利とおちょこをくっつけた。


自分でもわかんないんだもん。


調子が狂った。



男の人にあんなにドキドキすることなんて、今までなかった。
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