不機嫌なアルバトロス
「カノンちゃん?」


返事をしないでただ見つめるだけの私に、目の前の男は立ち上がって、甘く呼ぶ。




あなたもー



あなたも私の名前を呼ぶのね。



ちゃんと覚えてくれるのね。



「行こう」



手を少し強引に引いて、力の入らない私の体を立たせようとする。




「ーう「だめ」





頷こうとした肯定の言葉に被せられた拒否する言葉。



タカに引かれた手の肘の部分をクイっと違う力で反対側に引かれた。



へ?





酔っ払った私の頭では、この一瞬の出来事を上手く処理する事が出来ない。
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