天の川のほとりで
 春の暖かさは、初夏の暑さを運ぶように湿気を帯びる。

 街行く人並みに逆らうことなく、今日も当たり前な朝の通勤ラッシュ。

 混んでいる道は、我先にと突っ込む車の波。

 今日もいつも通り同じ信号に捕まり、まだ余裕のある時間を見やる。


(よし、これならまたあの人に会えるかも)


 そう思うと、口許がにやけてしまう。

 きっとバックミラーで見ていたら、変態な顔をしているに違いない。

 咳をする振りをしつつ、バックミラーで自分の顔を見る。

 今日も沢山会える。一緒に仕事が出来る。

 あの柔らかくてほっこりする笑顔に早く会いたい。

 これは恋というよりは、憧れに近いのだけど……。
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