届かぬ声を、君に。
頭の中に、あることが浮かんだ。
もしかして.........。
私は、少し考えてから手話で話してみた。
『もしかして、耳が聞こえないの?』
私が彼に向かってそう話しかけると、彼は大きく目を見開いた。
そして私をじーっと見つめたまま、手を動かした。
『お前、手話が分かるのか?』
やっぱり。
彼はきっと、耳が聞こえないんだ。
『分かるよ。私の妹が難聴で、手話で話してるから』
すると、彼はまた驚いた顔をした。
『俺も、耳が聞こえないんだ』
彼は悲しそうに俯く。