守ってダーリン!
ふと市谷さんに視線を向けると、そのうさぎを熱い眼差しで見つめている。


(あげたいのかな?)


「市谷さんも、あげますか?」

私がにんじんを差し出すと、市谷さんは悩み顔。

「・・・いや、いい。」

「かわいいですよ?」

「・・・。」

悩んだまま、気持ちが固まらない様子の市谷さん。

私は彼の手を取って指を開くと、「はい!」と言ってその掌ににんじんをのせた。

「・・・じゃあ・・・。」

複雑な表情でそれを握った市谷さんは、近くにいた白いうさぎに、おずおずとにんじんを差し出した。

すると。

コリコリコリ・・・。

すぐさまそれにかじりついた白うさぎは、音を立てながら、彼が持ったままのにんじんをおいしそうにかじり続ける。

「・・・かわいいな。」

うさぎを見つめたまま、市谷さんがぼそっと呟く。


(ふふっ、やっぱりあげたかったんだ。)


甘党だし、実はうさぎも好きだったなんて。

クールな彼の一面がかわいくて、私はまた一段と、市谷さんのことが好きになってしまった。
< 177 / 330 >

この作品をシェア

pagetop